大分県日出町出身の美術家佐藤俊造は、きわめて優れた画家です。そして、佐藤俊造は汗をかいて働くことを好んだ人でした。彼は農作業の手伝いなどで生計を立てながら日出町大神の山林に自らの手でアトリエを造りました。
ちなみに彼は、その木々に囲まれたアトリエに『花の木砦』という名前を与えています。『花の木』は地名に由来しますが、制作の場に『砦』と名付けるのは珍しいことです。彼は何と闘おうとしていたのでしょうか?あるいは、何を守ろうとしていたのでしょうか?それは今となってはわかりません。しかし、彼が、その『砦』で自己を深く見つめ、自然や宇宙と対話を重ね、旺盛な創作活動を続けたことは確かです。いわば、辺境にあって淡々堂々と労働と芸術の日々を完遂したのです。アート業でも先生業でもない形で自己の表現を確立した佐藤俊造の生き方は芸術家として至極真っ当で新しい生き方だったと言えるかもしれません。
彼の命が続いていれば、その存在は多くの人々に影響を与えたことでしょうが、惜しくも2010年に癌の病にて没しました。56歳でした。残された200点を超える作品は独創的で、いずれも完成度の高い作品ばかりです。にもかかわらず、彼の偉業は県下でもほとんど知られていません。
この度、没後10年にあたり、佐藤俊造の作品と人間像を多くの人に知っていただくために2つの大規模な展覧会を開催します。より多くの方に彼の芸術世界を楽しんいただきたいと願っています。
佐藤俊造展実行委員会
代表 二宮圭一
事務局 木村秀和